高速道路論
Webで翻訳ソフトが一気に普及し,それなりの精度だと初めて気付いた頃次のような話を聞きました.プロの翻訳家もまず翻訳ソフトにかけて,それを参考にしつつ翻訳する,楽だし参考になることもあるとのこと.次の3点の感想を持ちました.
- 翻訳ソフト利用
- 翻訳ソフトは非同期メディア(非リアルタイムメディア)の語学レベルを底上げする
- 翻訳ソフト+αの勝負
- いまは翻訳できるか否かの勝負ではなく,翻訳ソフトを前提とした後の文章の勝負となった
- 翻訳ソフト利用なし
- 翻訳ソフトを使えない人のデジタルデバイド(Digital Divide)が広がった
これらは次とも同意である.
梅田望夫さんがベストセラーの「ウェブ進化論」の感想はいずれ書きますが,断片的に6章の「高速道路」論について述べます.
羽生善治さんの高速道路理論の表現です.
「ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています。」
「チープ革命」が前提にあり,今さらながらの言葉ですが「高速道路」は誰もが分かりやすく言い当てていると感じる言葉だと思う.
梅田さんが「ウェブ進化論」やブログMy Life Between Silicon Valley and Japanで啓蒙活動することは,高速道路後の渋滞をひどくする影響が大きくて,まだ高速道路の先の渋滞エリアをどう乗り切るかというところまでは大きな影響を与え切れていない.これは梅田さんの本意ではないと思う.
またカーナビとタクシーのおっちゃんの関係にも似ているような気がする.最近はタクシー運転手もカーナビを参考にするんですよね.
- カーナビ利用
- 簡単にカーナビ利用でき、ど素人でも変な間違いルートを選択することがなくなった
- カーナビ+αの渋滞回避
- カーナビのおかげで渋滞は緩和もされるのだがまだ渋滞がある.タクシー運転手との渋滞回避の差はカーナビには表示されない道路知識や勘と判断の差となってきた.
- カーナビなし
- カーナビのない人とのDegital Divideは広がった
カーナビを例はあまりcreativeではなくtuneで可能な改善の場のような気がするので別の表現をする.
私はずっとGoogleは高速道路敷設者というイメージよりも世界の海のほとんどを底上げしてしまったイメージを持っていました.海が平野になって歩けるようになったのである.体力があり鍛えた泳げる人しか泳ぎきれなかったところも足が付くのでコンパスでもあればど素人でも何とか移動できるのである.小島と小島を繋ぐマッシュアップも簡単になった
- Google利用
- 海だったところに飛び出せるようになった
- Google+αの勝負
- 泳ぎは必要なくなりどのように歩く/走るかの勝負になった.
- Googleなし
- Google Divideにより,まわりのみんなは歩いて行く道を知っているのに頑張って泳ごうとしている
平野になった時点でいままで必要で苦労して覚えた泳ぎの技術は不要となり海の時代を知らない少年と同じ立場になる.ただし少年より体力はあり,次にできる平野の予測はうまいかも知れない.そして我々の勝負は次にどこが平野になるかを判断し飛び出すこととなる.