マナーという名の規則

東京では,エスカレーターの右側を歩く人のためにあけておきます.かなり強いマナーのようです.大阪では1970年万博の時に世界で多い方にあわせたので左側をあけておきます.でも大阪ではきれいには守られていません.しかし,本来エスカレータは危険なため歩いてのるものではなく,歩くこと自体がおかしいとのこと.それでも右側や左側をあけないとマナー違反のようです.


最近ではケータイの社内利用も,「優先席付近では電源OFF、その他ではマナーモードで通話はNG」で天下統一されています.

もちろんこれを守れないとマナー違反で注意されても仕方がない状況です.ペースメーカーへの影響は科学的根拠が薄いようで,本当はうるさいから止めて欲しいけど,うるさいという根拠だとケータイ以外でしゃべっている人はいいのかという反論がきます.そこでペースメーカーの方を例にあげ,マナー違反と主張しているんだと思います.


これらと反捕鯨運動とかぶりました.鯨の種類によっては絶滅の危機がないものもあります.ミンククジラなどは数が増えすぎて,他の生物への影響があり,間引きするのがベターだという主張があります.反捕鯨派は当初,絶滅の危機を主張していましたが科学的根拠が薄いとなるとそれを検証することを避け,動物愛護をマナーのように主張してきます.


双方の主張者が全体合理性を判断せず,決め事をせず好き勝手すると、両方がともに損をする状態に陥ることがあります.上記の例では,科学的根拠に可能な限り基づき,pros & consを整理し,あるべき論を考えて提示するプロセスはなされていない感じがします.何か事なきを得ようとする方向に規制やマナーという名の縛りをかけようという風に見えます.反捕鯨は日本の主張ではありませんが,全体的に日本は政治でも会社でも,局所最適解で楽な方向へ治めようとし,visionがない傾向があるのではないでしょうか?そしてvisionがないために自分の意見を主張することはなく,一度決められた現状のマナーが理由なしに根拠を議論されなくなるのではないでしょうか?それを考えさせられる木暮さんのエントリでした.